大学入試センターから新学習指導要領実施にともなう試験科目ついての中間まとめが出されました。

  これに対して日本物理教育学会は理事会で検討し、平成14年6月17日大学入試センターに要望書を提出しました。

 

大学入試センター「中間まとめ」  理科の部分の抜粋

 出題科目は「理科基礎」,「理科総合A」,「理科総合B」,「物理T」,「化学T」,「生物T」及び「地学T」の7科目とし,次のように3グループに分け,それぞれのグループにおいて,1科目を選択解答させる。

  グループ@ : 「理科基礎」,「理科総合A」,「理科総合B」及び「物理T」

  グループA : 「化学T」

  グループB : 「生物T」及び「地学T」

 

(説 明)

 新指導要領では,11科目(「理科基礎」,「理科総合A」,「理科総合B」,「物理T」,「物理U」,「化学T」,「化学U」,「生物T」,「生物U」,「地学T」及び「地学U」)が設定されている。これらのうち,「理科基礎」,「理科総合A」,「理科総合B」,「物理T」,「化学T」,「生物T」及び「地学T」の7科目のうちから2科目を必履修科目とし,その際,「理科基礎」,「理科総合A」及び「理科総合B」のうちから少なくとも1科目以上を含むものとしている。

 したがって,7科目すべてを出題する。

 グループ@,グループA及びグループBの科目配置は,受験者の理科の選択科目の組合せ等を考慮した。

 なお,「理科基礎」,「理科総合A」及び「理科総合B」は,物理,化学,生物,地学の内容を総合的に取り扱う科目となっている。そのため,これら3科目の出題内容をすべて重複させずに別々のグループに配置することは困難なため,同一のグループに配置した。 

(詳細は  大学入試センター  ホームページ   http://www.dnc.ac.jp/ )

 

日本物理教育学会の要望書

 

大学入試センター                              平成14615

所長  丸山 工作 様

                                      日本物理教育学会

                                          会長 霜田 光一

 

健全な高等学校教育を目指す理科のグループ分けに(要望)

 

貴センターが平成14328日付けで発表した「平成18年度からの大学入試センター試験の出題教科・科目について−中間まとめ−」について、当学会で検討しました。その結果、ぜひ要望したいことがあります。貴センターでご検討のうえ、ご高配くださるようお願いいたします。

 

[要望事項]「中間まとめ」理科グループ分けは、高校生の科目選択を歪めるおそれがあります。理科のグループ分けを再検討してください。

 

[理由]新課程になると、多くの高等学校では、1年生で「理科総合A」(または理科総合B、理科基礎)を履修し、1年生の秋から冬に、2年生での理科の科目選択をします。このとき大学進学を考えている高校生は、貴センターの出題教科・科目を検討することになり、「中間まとめ」のグループ分けが実施されていたとすると、多くの高校生は次のように考えるでしょう。「グループ(1)の科目は1つ(たとえば理科総合A)を1年生でとっている。あとは化学Tと生物T(または化学Tと地学T)を選択すればよい」。こうしてグループ(1)のなかの物理Tの選択者が少数になります。

   その後、各高等学校では、教育課程の見直しの度に、物理Tの選択者が少数であることを考慮したカリキュラムをつくることになり、その結果物理Tの選択者数は増えることはなく、さらに減る結果を招くことになります。

   いま高等学校では大学進学希望者が増えたため、以前より、教育課程が大学入試に左右されるようになりました。共通一次試験そしてセンター試験は、教育における入試のゆがみを是正することが、その目的にあります。「受験生の理科の科目選択の組み合わせ等を考慮した」今回の「中間まとめ」の案は、この点で再考すべき点があると考えます。

   将来を担う高校生には、物理T、化学T、生物T、地学Tができるだけ同等の条件のもとで科目選択できるようにすべきです。この趣旨を充分に考慮して、貴センター「中間まとめ」の理科のグループ分けの再検討をお願いいします。